視覚優位の発達障害者に戯曲を薦める3つの理由と、オススメ戯曲3選

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 私の好きなyoutubeのチャンネルの1つが、
ろみの発達障害チャンネル」です。

 先日、「ADHDにマンガ、ASDに小説がおすすめの理由」という動画がアップされました。

 この動画では、主人公の特徴などの観点から、「ADHDにマンガ、ASDに小説がおすすめ」と紹介されていました。
 その是非はさておき、アスペ嫁は、読みやすさなどの観点から、

    よめ「小説もいいけど、戯曲をオススメしたい!」

と話していたので、ご紹介したいと思います。

戯曲とは?

 戯曲について、Wikipediaには次のように記載されています。

戯曲(ぎきょく)は、演劇の上演のために執筆された脚本や、上演台本のかたちで執筆された文学作品。戯曲を書く者のことを劇作家と呼ぶ。
戯曲とは ~Wikipediaより~

 こちらだけでは分かりにくいかも知れませんが、あとのオススメ図書でも挙げさせていただく「オンディーヌ」から抜粋すると、こんな感じになります。


    オーギュスト もうたくさんだ。さっさと自分の部屋に行かんか。 
    オンディーヌ 連れてって! さらってって!

      ユージェニー、料理を持って戻ってくる。

    ユージェニー お待たせしました。 (以下略)


 このように、まさに上演台本と称されるように、登場人物と発言が並べられ、その他、舞台の流れなどが淡々と記述されるようなものです。

視覚優位の発達障害者に戯曲を薦める3つの理由

 それではさっそく、特に視覚優位の発達障害者に戯曲を薦める理由を、3つ、挙げていきたいと思います。

理由1:ほぼ全てが台詞回しだけで記述される

 戯曲は、上述のように、台詞回しだけで記述されています。そのため、次のような特徴があると思います。

  • 感情が読み取りやすいよう、台詞が工夫されている。
  • 事実関係が淡々と台詞の中で語られるため、読解力があれば読める。
  • 比較的、段落が短い。

これらは、いずれも読みやすさに直結しています。

理由2:心理描写、情景描写などがない

 発達障害者にとって、情緒的な心理描写や、詩的な情景描写は時に小説を読む上で課題となり得ますが、戯曲にはそのような心理描写や情景描写がありません。
 これらのことにより、

  • 読解に共感力を必要としない。
  • 心理描写、情景描写などといった妨害がないため、注意が逸れない。
  • 会話だけで話が進んでいくため、テンポ良く読み進めることができる。

などと言った効果が見込まれます。

理由3:視覚情報として登場人物と主な役割が認識できる

 戯曲は、上述のとおり、登場人物と発話者が(いわば表形式で)明示されています。
 そのため、

  • 発話の量が一目で分かるため、各場面の主たる人物が分かる。
  • 発話の前後が目に見えて分かるため、話し手と受け手が分かる。
  • 形式が決まっていることから、これらの情報を視覚情報として認識できる。

などの利点があります。

視覚情報から情景や登場人物などが手に取るように分かる戯曲はすごい!

 以上のように、多くの小説の中でも、戯曲と言うジャンルは、視覚情報優位の発達障害者にとって、

  • 必要とされる情報が得やすい。
  • 無駄な情報が削がれている。
  • 共感力より論理性が重視されるため、読みやすい。

などの特徴にまとめられると思います。

 戯曲に馴染みのない発達障害者の方は多いかも知れませんが、ライトノベルなどで小説に苦手意識を持たれた方がいらっしゃったら、ぜひ、戯曲は試していただきたいと思います。

オススメ戯曲3選

マクベス

    よめ「戯曲と言って、シェークスピアを薦めない訳にはいかない。」

と言った理由で、四大悲劇の中から、マクベスを推します。

 概要などはWikipediaに詳しいので、そちらを参照していただければと思います。

 お勧めしたい理由として、マクベスは、分かりやすい悪人を主人公にした、どうにも救いようのない話です。
 リア王、ハムレット、オセローが、親子愛や夫婦愛を感じられるのに比べ、マクベスは、疑心暗鬼や猜疑心などに取り込まれた、とにかく暗い話で、勧善懲悪という分かりやすい内容を悪人サイドから書いているので、ある意味読みやすく、救いようの無い話なのに読後感も悪くなく、オススメです。

オンディーヌ

 ヒロインである水の精オンディーヌ(ウンディーネと言うと分かりやすいかも知れません。)が、人間である騎士と恋に落ちる話です。
 騎士の妻として宮廷に入るオンディーヌですが、人間社会を知らないオンディーヌが人間社会の常識の中で生きていくことを強いられる様は、発達障害者が健常者の常識の中で生きていくことと被る気がします。
 そして、騎士とオンディーヌは破局してしまいますが、その結末は・・・!?

岡本綺堂

 岡本綺堂というのは著者の名前で、この本は短編が10強収録されています。
 その中で戯曲は2編のみですが、戯曲である修善寺物語が特にオススメです。
 親子の確執や、狂気の中の美学の描写など、非常に感動しました。

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