子育て福祉と障害者福祉の狭間で

精神科のカウンセリングルーム。カウンセラーさんは悲しそうに言いました。

「ですから、該当する福祉制度自体無いんです。」
「つまり、障害者が子供を産むことは想定外って事ですか?」
これは、私が妊娠して、産後のことについてカウンセラーさんとしたやりとりでした。
母子手帳をもらったときに感じた障害者への子育て支援への違和感
はじめに違和感を感じたのは、役所に母子手帳をもらいに行ったときのことでした。
母子手帳を渡してもらうとき、別室に案内され、役所の保健師の方から資料や制度を紹介してもらいながら、

これから役所の方でもサポートしていきますね!
と、明るい説明と前向きな姿勢で話をしてくれたので、

と、少し安堵したのですが、具体的な支援制度を見ていると、障害者向けの制度がありません。
パニックを起こしたときや通院時など、どうすれば良いかと思い質問をしても、返答につまるだけで、これと言った回答はありませんでした。
精神科のカウンセラーがフォローしてくれた
そのとき、フォローしてくれたのは、通っていた精神科のカウンセラーさんでした。
地域の基幹相談支援センター(いわゆる障害者自立支援法(Wikipediaへのリンク)に基づき、身体障害者、知的障害者、精神障害者の相談を総合的に行う組織。厚生労働省 障害者自立支援法改正案資料より)にも問い合わせてくれたりもしたのですが、それでも明瞭とした回答は得られませんでした。
子育て支援も障害者支援も本人に限定され、これらを繋ぐものがない
子育て支援の制度も、障害者支援の制度も、それぞれ充実しているように見えます(精神障害者保健福祉手帳の、特に3級だと利用できる制度はぐんと減りますが)。
しかし、今回のことで分かったことは、これらは、子育て支援の制度であれば子供本人、障害者支援の制度であれば障害者本人に対する支援である、ということでした。
つまり、障害者が親であったときに、障害者本人に問題が発生しても、その子を支援してくれるような制度は見当たらなかったのです。
言い換えると、子育てを支援してくれる制度は、親が健常者であることを前提とした制度ばかりでした。
役所の担当保健師の裁量次第では子育て福祉と障害者福祉をつないでくれるかもしれない
それから、カウンセラーさんと話を進めていく中で、最終的に頼りになるのは、役所の保健師さんなのではないか、という結論になりました。
地域担当の保健師さんであれば、役所で複数の課の間で包括的に動ける可能性があるのではないか、と。
でも、そういった、いわば保健師さん個人の裁量に頼らないで済むような制度であったらよかったのに、と、強く感じました。